片恋キックオフ
「サッカーでは、どこのポジション?」
「トップ」
「……フォワードのこと?」
「そう。
つうか、ここ…左?」
「うん!
そうなんだー、かっこいいね!」
「別に」
「う…。 わたしはどこに向いてると思う?」
「…」
え? む、無視…⁈
わたしは、はぁとため息を吐いて真っ暗な空を見上げる。
真っ暗な中でも力強く輝くのは一番星。
だけど、弱い光だってがんばって輝いている。
いまのわたしと城川くんみたい。
城川くんはとっても上手いし、すごく期待されてる。
だけどわたしはすごく下手。
でも、頑張って努力してる。
いつかはこの努力を認めてもらいたい。
いつか…じゃないや、3週間後の練習試合でだ。
ずーっと女子サッカー部に入ってるわけじゃないもんね…。
「わかんねぇけど。
藤宮は意外と我が強いと思う。
だから、トップだって向いてる。
だけど別に他のポジションだって向いてると思う。
それを見つけるのは…自分」
信号待ちで止まってると、城川くんは少し後ろをみながら呟くようにして言った。
考えてくれてたのかな…?
「ありがとう!」
ほら、やっぱり城川くんは優しい人。