片恋キックオフ
*瑞姫*
「…えと、…藤宮瑞姫(ふじみやみずき)で、す……」
どうしてわたしはこんなにもあがり症なんだろ…。
———転校初日の今日。
いまは朝のHRで、わたしは転校生として先生に紹介された。
そうしてわたしは自己紹介をするけど。
運悪く、わたしはあがり症で
うまく自己紹介とかができない…。
先生に促されるまま、わたしはため息を吐きながら窓側の1番後ろの席に腰を掛けた。
すると前の席の茶髪の女の子が、ショートヘアーをなびかせてくるっと後ろのわたしを振り返って、にこっと笑った。
「瑞姫って呼んでもいいかなあ?」
「う、うん…!」
「あたしは、宮崎杏里(みやざきあんり)!
杏里って呼んでね?」
あたしは何回もコクコクと頷く。
後ろ姿はスポーティっぽかったけど。
顔とか口調的にふわふわしたような可愛い女の子。
「あ、の…!
わたし、人見知りって言うかあがり症で…」
「ふふ、大丈夫!
転校生ってみんなそんなモノでしょ?
それよりも、高2の9月に転校生って珍しいね」
「あ。 お父さんの転勤が急に決まったんだ…!
転校とか初めてだし、また新しく友達作るの大変だなあって思ってたけど…。
杏里ちゃん、話しかけてくれてありがとう!」
まだHRを続ける先生の話なんて聞かずに、わたしは杏里ちゃんに向かってにこっと笑った。