片恋キックオフ





「こ、こんなんでいいのかな?」





数メートル並べられたカラーコーンをひと通りやって、城川くんの顔を伺う。





「うん、まあ。 …それでもう少し速くなればいいと思う。

つうかさ、アウトサイドってできんの?」





え? …アウトサイド?
インが内側だから…アウトは外側ってことかな?





「あのさ…。 もしかして、しらねぇの?」




「……う、うん」




「そっか」





そう言った城川くんは芝生に座った。
え?練習は…?





「どうしたの?」





わたしは座る城川くんの顔を上から覗き込む。





「…疲れただけ」





城川くんはわたしから顔を逸らしてそう言った。





「そうだよね。 …初歩的な練習に付き合わせちゃってごめんね……」





なんだか申し訳なくなってきた。
悪い気がしてきた。





わたしは上手くなりたいけど。
城川くんにとっては…迷惑なんじゃないかって。





「別に。 そんなこと言ってねぇだろ」




「え?」




「ただ単に、こんな動いたら疲れんだろ」





はぁーと城川くんはため息を吐いて吐き捨てるように言った。





それなら…よかった。
城川くんにとって迷惑じゃないならよかった。




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