片恋キックオフ
わたしは少し距離をあけて、城川くんの隣にちょこんと座る。
「……城川くんの夢はさ、サッカー選手?」
城川くんはサッカーすごく上手いし。
ふと、そうなのかなあって思って聞いてみる。
「だったら悪い?」
呟くようにして言ったら、城川くんはわたしの顔を少し睨んだ。
「ううん、悪くないよ…!」
「サッカー選手なんて、子どもみてぇだって思っただろ?」
わたしは横に首をぶんぶん振った。
そんなこと思ってないもん。
「夢があるって素敵だな、ってわたしは思うよ…?」
「…藤宮って変わってるな」
「え? ど、どこが…?」
チラッと城川くんを見てみると、城川くんは少し笑っていた。
ドキンと胸が鳴る。
城川くんって笑うんだ…。
なんだか周りがキラキラして見える。
草も木も、青い空もなにもかも。
城川くんの笑顔を見た後に見ると、キラキラしてる。
城川くんの笑顔って…不思議。