片恋キックオフ
「別に」
「…そっか。 でもかっこいいね」
「は? …そんなことねぇよ」
「好きなことを夢にできるって羨ましいもん。
わたしは、…いま夢がないもん」
ぼーっと空を見ながら言うと、隣から『ふぅん』という声が聞こえた。
チラッとまた見てみるけど。
城川くんはいつもの冷たい無表情に戻っていた。
すごい凛とした横顔。
だけどやっぱり、クシャって笑ってるほうが好き。
「応援してるね」
「別にいい」
「ううん、応援するっ」
「…勝手にすれば」
また笑ってくれればいいのにな。
城川くんの笑顔…好きだもん。
「再開するか」
「うん」
みんなには秘密の顔。
みんなはきっと、城川くんが驚いた顔をしたり、迷惑そうな顔をしたり、ましてや笑顔をするなんて知らないはず。
そう思うとすごく嬉しくて、胸がフワフワする。