片恋キックオフ





少しずつ、少しずつ。
1日1日が過ぎるたびに。
胸の不安が膨らんでいく。





「瑞姫がここの高校に来たのも、なにかの縁だよ?

それに…女ッカーのメンバーがひとり足りないのもなにかの縁。


そう思うと、すごくない?」




「縁…か…」




「あたしはね?
瑞姫に会えてよかったよ?

それに…一生懸命な瑞姫と、同じコートに立てて一緒に戦うのも、なんか嬉しいし」





杏里はふわっと笑った。
そっか…たとえ無理でも。
わたしにできることをしたらいい。





せっかく10人に会えたんだから。
みんなをサポートできるようにしよう。





「わたし、頑張る!」




「うんっ。
ライバル高校だもん。 たとえ練習試合だろうけど、負けたくないもんね!」




「うん!」





それに、どうせなら強くなりたい。
仲間の大切さをもっともっと知りたい。





練習試合が終わったときに、負けても勝っても…みんなで笑って。





スッキリした気持ちで、辞めたいもん。





「そうだ、練習試合が終わったらさ。
…やっぱり、辞めちゃう?」




「え?」




「なんて言うかさ。
ほら、公式試合とかは1年生ももちろん出れるけど。

どうせならまた…瑞姫と一緒にやりたいなあって思って」




「んーごめん。 まだわかんない。

終わってから、考えるね?」




「うん!
無理にとは言わないからね?

ちゃんと考えてみてねっ」





笑顔の杏里にわたしも笑顔で『うん!』と返した。





存在を認めてもらってる。
だから、早く技術で認められたい。
あと少しの間で…上手くなりたい。




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