片恋キックオフ





*****





練習試合を1週間と1日後に控えた金曜日の今日。





いつものように、わたしは城川くんと裏庭にいる。





「城川くん、行くよー!」





いつものパス練習から…。
わたしはボールを地面に置いて、右足で思い切り城川くんに向けて蹴る。





前とは比にならないくらい、インサイドキックは…たぶん、上手くなったと思う。





「……上手くなったな」





遠くてボソボソッとしか聞き取れなかったけど。
城川くんは少し微笑んで褒めてくれた。





やっぱり城川くんの笑顔はわたしを元気にさせる魔法みたい。





胸がドキドキ高鳴って、もっともっと頑張ろう!って思えるんだ。





「ほら、ボーッとすんな。 行くぞ」




「あ、…うん!」





たとえ上手くなっても。
やっぱり、上手な人と比べちゃ全然下手だな……。





キレイに回転して転がって、城川くんの蹴ったボールはわたしの足にぶつかって止まった。





「じゃあ次はアウトサイドキック」




「うん!」





まだアウトサイドは苦手だけど。
プレー中、相手の意表を突くにはできたほうがいいって言ってたもんね…!




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