片恋キックオフ





頭の中で、この前教えてもらったことを思い出す。





…助走は蹴る方向に対して斜めに。
足首は伸ばして。
足の甲の外側からくるぶしあたりで蹴る。





よし……!





わたしはアウトサイドでボールを蹴った。
ボールは少しゆっくりでひょろひょろしてるけど。
城川くんのもとにギリギリたどり着いた。





「まあ、最初よりは上手くなったな」




「本当⁉︎ よかった……」





せっかく教えてもらってるのに、全然できてなかったら元も子もないもん。





城川くんみたいに。
城川くんの蹴りをマネして。





キミ色に染まるようなプレーをしたい。











「つうかさ、藤宮のポジションはどこなわけ?」





城川くんはボールを足で転がしながら、ゆっくりわたしのところに歩いてきた。





あ…。言ってなかった。
まだ決まったわけじゃなかったし…。
それにいま現在も発表されてないしね。





「前いた子がね?トップだったの。

だからもしかしたら…わたし、トップかもしれないの」




「は?トップ?」




「う、うん」





予想通りの反応。
だって、わたしにそんな攻撃のポジションなんて無理だもんね…。





「じゃあシュート練しとくか」




「え? し、シュート…?」




「だってトップだろ。

アシストばかりやるわけじゃないだろ?
ちゃんと攻めなきゃに決まってんだろ」





「そっか……」





11人でプレーするんだから。
蘭に任せちゃダメなのはわかってるけど。




わたしなんかに攻めることができるのかわからなくて、不安なんだよね…。




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