片恋キックオフ
緊張なのかな?
すごく胸がドキドキするよ…。
わたしは胸のドキドキを抑えつつ、さっき教えてもらったポイントと。
城川くんのフォームを思い出して。
———わたしは軸足をボールの横に置いた。
勢いよくボールを蹴ると。
ボールは少し孤を描きながら、落ちる前に壁に当たって、跳ね返ってきた。
「ど、どうかなあ…」
「なんだ、普通に蹴れんじゃん。
悪くないと思う」
「ほ、本当に…⁈」
城川くんは無表情で頷いた。
笑顔じゃないのが残念だけど…。
少しだけ自信を持てた気がする。
「あ、城川くん…!」
「なに?」
「あのね…!
もしよかったら、来週の土曜日…試合見にきてくれるかな?」
「試合を?」
わたしは少し俯いて頷いた。
来てくれるかな……?
見に来てほしいな…。
「いいけど」
「え⁉︎ め、迷惑じゃないの…?」
「は?誰がそんなこと言ったわけ?」
「う…。 あ、ありがとう…!」
わたし、勝手に城川くんの気持ちを考えすぎかな。
城川くんは、優しい人なのに。