片恋キックオフ
「藤宮」
「はい…!」
急に先生に呼ばれて、わたしは肩をビクッとさせた。
天田先生、男っぽいから少し怖いのが本音なんだよね…。
「いきなり練習試合で。
いきなりトップやらされて、迷惑だろうけど。
みんなは藤宮の技術を認めてるから。
お前をトップに決めたんだ。
この頃、確実にレベルが上がったしな」
「ありがとうございます!
が、頑張ります…!」
口調も荒っぽいから、ついビクビクしちゃうけど。
天田先生は、すごく優しいのが伝わる。
「ただ……優柔不断にはなるなよ?
あと、遠慮しないでどんどん突っ走って行けよ」
「はいっ!」
たぶん、そこがわたしの悪いところ。
ちゃんと先生はわかってたんだ…!
「明後日のために、わざわざ入ってくれたんだからな。
みんなも藤宮を助けるように。
練習試合だからって手を抜くなよ!
公式試合であいつらに負けた復讐をしろよ!」
ふ、復讐……。
みんなは先生が本気なのが伝わったのか、少し戸惑いながらも声を揃えて『はい!』と言った。