片恋キックオフ
*瑞姫*
わたしは蘭にすぐにパスをして。
わたしたちは攻めて行く。
「蘭! こっち!」
左サイドハーフの七海が、ボールを運ぶ蘭に向けて声を出した。
そこがちょうど空いてるのか…。
蘭は言われた通りに七海にパスを出す。
そこに人はいなくて、もちろんパスは七海に届いた。
…空いてるところを見つけて、パスをもらわなきゃ…!
「春名!」
ボールは次にトップ下の春名にまわった。
春名はドリブルをしながら、敵を除けていく。
「瑞姫!」
え?わ、わたし…⁉︎
春名は敵を除けながら、アウトサイドでわたしにボールを蹴った。
どうしよう。
ボールをもらったら、どうすればいいんだろう。
いざこうなると、わけがわからなくなって、テンパってしまう。
わたしはボールが来てもいいようにトラップの形になった。
———けれどボールはわたしのところには届かなくて。
前を横切った相手チームの人に取られてしまった。
「…あ……!」
ばかだ、わたし…。
なにやってるんだろう。
自分から取りに行かなきゃなのに。
待ってちゃダメなのに……。