片恋キックオフ
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「初めまして、藤宮瑞姫です…!」
女の子10人はわたしを囲む。
わたしはすぅーはぁーと深呼吸をして、簡単な自己紹介をした。
やっぱり、人数が少ないときのほうがそんなに緊張しなくて済む……。
「瑞姫ちゃん、よろしくね〜!」
ひとりの女の子が笑顔で言ってから、他の女の子たちも『よろしく』と言ってくれた。
「瑞姫ちゃん、ごめんね。
来てくれてありがとう」
他の子と違って、ひとりの女の子は申し訳なさそうにわたしに言った。
「い、いえ!
でも…わたしは本当に下手なんですけど。
だけど、困ってるなら…た、助けたいし……」
「瑞姫! あたしら女ッカー2年はみんな瑞姫に感謝してるからね!」
『よろしく』の次は『ありがとう』という元気な声がわたしの周りを飛び交った。
「杏里ちゃん…!
わたし、スパイクとか持ってないよ…。
それにルールもなんもわからない」
「スパイクはね!
5月に引退しちゃった先輩がくれるって!
ルールはやって行くうちに覚えよ!」
「うん!」
きっと足手まとい。
だけど、人数が足りなくてわたししか望みがないなら仕方ない。
…1ヶ月でふつうの人くらいには蹴れるようになれるかな……。