片恋キックオフ





*****





「初めまして、藤宮瑞姫です…!」





女の子10人はわたしを囲む。
わたしはすぅーはぁーと深呼吸をして、簡単な自己紹介をした。





やっぱり、人数が少ないときのほうがそんなに緊張しなくて済む……。





「瑞姫ちゃん、よろしくね〜!」





ひとりの女の子が笑顔で言ってから、他の女の子たちも『よろしく』と言ってくれた。





「瑞姫ちゃん、ごめんね。
来てくれてありがとう」





他の子と違って、ひとりの女の子は申し訳なさそうにわたしに言った。





「い、いえ!
でも…わたしは本当に下手なんですけど。

だけど、困ってるなら…た、助けたいし……」




「瑞姫! あたしら女ッカー2年はみんな瑞姫に感謝してるからね!」





『よろしく』の次は『ありがとう』という元気な声がわたしの周りを飛び交った。





「杏里ちゃん…!

わたし、スパイクとか持ってないよ…。



それにルールもなんもわからない」




「スパイクはね!

5月に引退しちゃった先輩がくれるって!


ルールはやって行くうちに覚えよ!」




「うん!」





きっと足手まとい。
だけど、人数が足りなくてわたししか望みがないなら仕方ない。





…1ヶ月でふつうの人くらいには蹴れるようになれるかな……。




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