片恋キックオフ
春名からパスがとんでくる。
次は…自分から行かなきゃ…!
そう思って、ボールを取りに行く。
…今度は誰にも邪魔されないでボールを取ることができた。
でも、どうしよう…!
空いてるところを見てそこにいる仲間にパスをしなきゃなのに…。
いざとなると周りが見えなくなって。
自分に寄ってくる相手しか見えなくなってくる。
「瑞姫! こっち!」
戸惑ってると、杏里の声が聞こえて。
わたしを邪魔する相手の子をかわしながら、声が聞こえたほうにボールを強く蹴った。
「…っ…杏里!」
すぐに相手の子は消えて、周りをみたら杏里がボールを扱っていた。
…よかったあ……。
少しは役に立てたのかな…?
ホッとしていたのは束の間、すぐにボールは相手チームが持った。
「ナツ!」
知らない子たちの名前を呼ぶ声がコートに響き渡る。
「こっち空いてるよ!」
「アヤ!」
「七海! そっちマークつけて!」
もう誰が話してるのかなんて聞き分けがつかない。