片恋キックオフ
え? か…勝ったの?
夢が現実になってしまうと理解ができなくなる。
「瑞姫ぃ…っ。 勝ったよ〜」
鼻をすすりながら杏里が抱きついてきた。
その言葉で、あぁ勝ったんだって思える。
「ふぇ…、杏里…っ。
うぅ……わ、わたし…すごく、嬉し…」
目からひと粒ひと粒、涙が落ちて。
乾いたグラウンドの土を潤していく。
「ちょっと〜泣かないでよばかぁー」
杏里はついに目からひと粒だけ涙を零した。
「瑞姫っ」
他のみんなもわたしたちのところに来て抱きついて来る。
すごく温かくて、なんだか…仲間っていいなって。
みんなと一緒に戦うことができてよかったって。すごく感じる。
「うぇぇん…みんな、ありがとっ…」
「あはっ! 瑞姫ってば泣きすぎだよ?」
頭を撫でてくれる実李。
そんなわたしたちを見てみんなは楽しそうに笑った。