片恋キックオフ
今日の練習を見たけど。
最初からいきなり15分間走だったし…。
サッカーってボールを蹴ってゴールまで運ぶだけの簡単な試合だと思ってたのに。
体力も必要だしキック力も。
仲間との信頼関係も重要だし。
もっと不安になってきたなあ。
わたしなんかに務まる気がしない…。
わたしなんかが入ったら、絶対負けちゃうもん。
どうしよう。
いまさら断れないし……。
こ、ここまできたら…やるしかない! よね?
「……頑張ろうっと…」
友達も杏里ちゃんしかできてないし。
クラスの子ともっと仲良くなりたいなあ。
でもわたしは、人見知りで…。
仲良くなったらこんな静かじゃなくて、大声で笑うときもある。
なんでこんなに気弱っていうか、そんな感じになっちゃうかなあ……。
リビングに行こうとすると、スマホがブブッと震えて。
今日 交換したばかりの杏里ちゃんからSNSのメッセージがきていた。
【転校初日からいきなりごめんね。
ただでさえ慣れてないのに、瑞姫にはたくさん迷惑かけちゃったね(>_<)】という、杏里ちゃんらしいメッセージだった。
わたしは【大丈夫! 下手だけど頑張るから、よろしくね!】と返して、部屋を出た。