片恋キックオフ
「試合、一昨日で終わってさ。
たぶん…もうふたりで練習することはないのかなあ?」
教室で話しかけるのはかなり難しい。
人の目もあるし、特に女の子から…鋭い視線を向けられそうで。
ふたりで練習するときがすごく楽しかった。
「口実作っちゃえばいいじゃん!」
「……口実?」
「そう。
『まだ上手くなれないから』…とか言ってさ」
「そっか…。
でも、見破られない……?」
「笑顔が見たいんでしょ?
もっと話したいんでしょ?」
杏里の言葉に何回もコクコク頷く。
でも恋って…“好き”ってことだよね?
城川くんに、到底 告白なんてできっこない気がする。
城川くんはモテるのに数多くの女の子の告白を断ってるし。
「…はぁ、前途多難」
無理な気がしてきた。
わたしはまたため息を深く吐く。
どうすればいいんだろう?