片恋キックオフ
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「……はぁ…」
ため息をしながら、屋上に寝そべって青い空を見る。
キーンコーン———。
きっとこのチャイムは1限の本鈴。
だけど眠いからいまここにいる。
そして俺はポケットから白い封筒を取り出した。
…一応、手紙を見ることはするけど。
大抵、返事もしないで捨てるだけ。
だって『好き』とか書かれた手紙をもらっても、俺は好きじゃないから返さなくていい。
ただ、それだけのこと。
だけど俺は手紙の内容を見て顔を顰(しか)めた。
【城川湊 先輩へ。
今日のお昼休み、伝えたいことがあるので中庭に来てくれませんか?
先輩が来るまで…待ってます。
1年B組 中林ゆなより。】
手紙で告白されたらさっきのやり方で上手くいくけど。
こうやって呼び出されるのはかなりめんどくせぇ。
でも、まあ…断るけどな。
俺は好きなヤツからの告白は断るつもりだから。
手紙を地面にパタっと置いて。
青い空に輝く太陽の光を感じながら目を閉じた。