逢って、愛して
Prolog
まさかTwitterで恋をするなんて、全く思わなかったんだ。
私、山瀬真涼は漫画が大好きな、差別的に言えば所謂「オタク」である。
少女漫画はあまり見ない。
見るのは少年漫画ばかりで、週刊誌が出るとコンビニに駆け込み、毎週好きな漫画の好きなキャラにきゃあきゃあと騒いでいる。
しかし、それを除けば私とて普通の女子校生。
普通に可愛いものが好きで、甘い物も好き。
もちろん、時には恋だってする。
「……うっそ」
スマホのディスプレイに映し出されたTwitterの画面。
そこには様々なツイートがあるのだが、その中に1つ、私の目を惹き付けて離そうとしないツイートがあった。
[近々、Twitterを辞めるかもしれない]
好きな漫画の、好きなキャラのなりきりさん。
あまり出番がないサブキャラだが、私の好きなキャラ。
そのなりきりさんが、いきなりTwitterを辞めると言い始めた。
私の頭の中が高速で回転をし始める。
どうゆうこと?やめるってなんで?待って急すぎやしないかな?
疑問形の言葉が飛び交う頭の中を冷静に、と戻しつつ、他のツイートを見る。
そのなりきりさんのツイートに、他のフォロワーさんやなりきりさんが反応している。
それもそうだ、あまりに急だったから。
私も慌ててリプライする。
[なんで辞めちゃうんですか!?]
リプライはすぐにあった。
[大学受験があるんだ。俺生徒会だから、文化祭とかの準備があってなかなか来れなくなる。だから]
成程、ふむ。と一瞬納得する。
しかしすぐにいやいやおかしいだろ!
受験はまだしも、文化祭の準備諸々あったとしても、そんなすぐやめなくてもいいではないか!
[そ、そんなすぐに辞めなくても…]
他と同じ様な反応だろうか、いやでもなかなか当たり前な反応だろう。
中には頑張れ!私は止めないよ!と言っている人もいるが、大方それらはなりきりさんとあまり絡んでいない、要はどうでもいいと思っている者達。
幾人か仲も良くて応援してる!と言っている人もいるが、きっと無理をしているだろう。
[…悪ぃ]
悪ぃじゃなくって!と心の中で叫ぶ。
最近仲良くなり始めたフォロワーさんなだけに、余計必死になる。