逢って、愛して

生徒会も終わり、バスから降りて電車を待っている。
長い道のりではあるが、自転車の真涼よりかは幾分楽かもしれない。

駅員の声や電子看板の音が響くプラットホームに降りると、ズボンのポケットに入れていたスマホが鳴った。

ディスプレイを見ると「兄貴」の文字。

おぉ、珍しい。
今海外で就職している兄貴から電話とは思わなかった。


「もしもしー?」
[よぉ翔也、学校どうだー?]


陽気な兄貴の声にふ、と笑ってしまった。
外国に行っても変わらねぇな。


「アバウトだな、問題ないけど」
[ほー、そうか]


ふんふん、と何かに納得している兄貴。
一体何なんだよ、と思いながら黙っていると「あのさ」と話を切り出された。


「こっち…海外に来ねぇ?」


ガタン、ゴトン。

電車が、目の前を通り過ぎていった。





< 14 / 14 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

それでも好きなんです。

総文字数/0

ノンフィクション・実話0ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop