逢って、愛して
甘く苦く。
朝6時半。
このくらいの時間に起きないと、学校に遅刻してします程家から学校までの距離は長い。
眠たい目を擦り、リビングに降りると母がフレンチトーストをテーブルの上に置いた所だった。
おはよ、と言って座ろうとする。
足元からきゃんきゃん!と鳴き声が聞こえた。
「おはよ、シエル」
つい最近山瀬家の子になった、チワワと何かの雑種のシエル。
庭に迷い込んできて、倉庫の下にいたのを母が発見。
私が這いつくばって倉庫の下から引っ張り出したのだ。
「シエルー、痛いから」
朝から元気のいいこの犬はまだ幼犬なのだがよく後ろ足だけで立つ。
面白い程ぴょんぴょんとしているので、最近朝からよく笑い、寝起きがいい。
脇に置いていたスマホからピロン、と音がした。
素早く手に取り、画面を見るとLINEの通知が来ている。
[おはよう]
そのたった一言に口元が緩む。
画面をタップして[おはようごさいます]と打った。
シエルが山瀬家の子になったと同時に、出来た私だけの変化。