恋というのは甘すぎる
もうそんな時間なのか。六月になるとこの時間でもまだ明るくて、時計を見ないとピンとこない。
午後はずっとここで寝ていた。
昼休みが終わったくらいからひどく頭が痛んで、授業を抜けさせてもらったんだ。
保健室の先生が出張でいなかったから職員室で鍵を借りて、一人ベッドで大人しく横になっていた。はずが、いつの間にか二人になっていようとは。
ちなみに奥原先生は古典教師なので、保健室とは一切関係ない。
「っていうか先生、何でここにいるんですか」
「六限俺の授業だったのに、上嶋いなかっただろ。なんか保健室行ってるって聞いて授業の後で様子見に来た」
「…見に来て、それから?」
「なんか俺も眠くなったから添い寝してみた」
してみた、じゃない。
「誰かに見られたらどうする気ですか…!」
「大丈夫だろ、ほら、鍵かけたし。ドアの前に出張中って出てるし」
どうしてこう平然としていられるんだこの大人は…。
男性教師と女子高生がひとつのベッドで寝ていれば、例えやましいことなんか何もなくても、大騒ぎになること間違いないっていうのに。
…なんてことを私ばっかり気にするのもバカらしい。
私は何もしてないんだ。潜り込んできたのは先生の方。