cornering
全君に相手されなくてふつまんなくなって、席に戻ると全員があたしを見て哀れな顔をしてた。
「みんななんちゅう顔してんの」
「また会っちゃったね」
「ん、嬉しい」
「ゲンキンなやつね。さっきまで泣きそうにしてたくせに」
「まぁね」なんて言ってビールを飲み干した。
ほんとに。さっきまで泣いてたくせにね。全君の顔見たら泣きたいっていうより何より好きで堪らなくなってしまって。
いつものように朝まで飲んで語り明かして、そこの居酒屋のテーブルで、全君にさよならも言えずにあたしは眠りに落ちた。
つまり、潰れた。