水風船。
水風船。
夏の暑さが残る夜。
子供が並んでいるのに混じって
高校生が二人。
“ はーい、1回100円ねー。 ”
“ やったぁ、とれた! ”
嬉しそうに君がとったもの。
“ 水風船 ”
夜なのに、明る過ぎる屋台。
ごった返しになった道。
カップルが集う境内。
そんな中、
帰る頃には割れちゃって。
そんなに振り回すから。
そして、君は僕に言ったね。
「私たちもすぐ割れちゃうのかな。」
そう言って、涙目になった君。
「大丈夫、僕らは割れない。」
そう言って、苦しくなった僕。
あのとき、手でも握ってあげていたら
変わっていたのかな?
なんでもっと早くに気付いていなかったんだろう。
“ モウオソイ。 ”
その言葉が僕の頭をループする。