水風船。
蒼衣said
毎週木曜日。
委員会があって、教室でいつも、健太が待っていてくれる。
教室っていっても、健太の教室だけどね。
今日は早く終わったし、早く行って健太とデートでもしたいな!
なんて、浮かれてた私。
周りから見たらニヤニヤしてて、キモかっただろうな。
… … …
“ 健太 ”
教室から聞こえた声。
え、誰が呼んでいるの?
恐る恐るドアの陰から覗いてみた。
“ 遥奈 ”
え…なんで。
健太…嘘でしょ。
私が一番って言ったよね?
私たちと同じクラスの若葉 遥奈。
すごく可愛くて、モデルさんなんだっけ。
怖くなって、すぐ逃げたかった。
だけど足が動かないの。
“ 健太 “
遥奈の声が健太を呼んでいる。
陰が重なっているところでさえ、
目を見たくないのに…。
《 浮気 》
信じたくなかった。
“ もうそろそろ、蒼衣が帰ってくる ”
もう、いるわ…。
おかげで、こんなところ見ちゃったけど。
“ そっか。また会えるよね? ”
会わないで。
これ以上、私から離さないで。