桜色の手紙
二年生で吹奏楽部を引退して以来、部活には顔を出さなかったが、休日は学校で勉強している。歩いて5分もかからない、ということもあるが、吹奏楽の音が聞きたいというのもあった。
俺は、音楽からは離れられない。
5歳の時にピアノの音を聴いて、オーケストラの生の音を聴いて、俺は本当に音楽の虜になってしまった。
早く、早く、受験生という肩書きを卒業したい。ピアノをもう一度弾きたい。
そのために今、必死で勉強しているんだ。
浪人なんかしていられない。
だけど、あいつの奏でる音を聴きたいというのもあった。
あいつの音と共にいたい。
…そんなことを言ったらきっとまた酷いやつになってしまいそうだから言わないけれど。