桜色の手紙
彼女は今、元気でいるだろうか。



あの華奢な体、細く長い腕、滑らかなピアノの音。



あれは絶対に忘れられない。



忘れてはいけない。









彼は今、どこで何をしているのだろう。



あの不思議な立ち方、凝り性な癖、楽器と立ち向かうときの真剣なまなざし。



あれは絶対に忘れられない。




忘れるなんてこと…できるはずがない。
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