Candy House
安部さんの方に視線を向けると、
「――ッ…!?」

あたしの唇は、安部さんの唇と重なっていた。

……えっ?

…いや、ちょっと待てちょっと待て、安部さん!

今流行りのお笑い芸人のマネをしても、状況が変わる訳がない。

さっき上野さんとキスしたばかりだと言うのに…今度は安部さんとキスしてしまっている。

あたし、今日で2回、それも2人に唇を奪われたって言うことだよね?

そう言うことになりますよね?

安部さんの唇が、あたしの唇から離れた。

「…ビールの味って言うのが気にいらねーな」

安部さんはそんなことを呟くと、こちらもあたしの肩を枕代わりにして目を閉じた。
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