Candy House
紫色の花――これはすみれの花か――が描かれているふすまを安部さんは指差して、
「ここが俺と上野の部屋。

ノゾミちゃんの部屋はその隣」
と、桜の花が描かれているふすまに進んだ。

ガラッと、ふすまを開けると8畳ほどの広さの和室だった。

「ふとんは、来客用のふとんが2つあっただろ?

その1つを使えばいいから」

そう言った安部さんに、
「じゃあ、俺ふとん持ってくるわ」

上野さんがどこかへ行った。

「入って」

安部さんに促され、あたしは和室に足を踏み入れた。

シャッと、それまで閉じていたオレンジ色のカーテンを安部さんは開けた。

まぶしい日差しが和室に入り込んだ。

畳の色が若草色と言うところを見ると、新しく替えたばかりなのかも知れない。
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