Candy House
「ちょっと、そんなに覗き込んだら麻子さんに見つかっちゃいますよ」

そう言った安部さんに声をかけたあたしに、
「アサちゃんに見つかるって、どう言うこと?」

「わっ!?」

「きゃっ!?」

「ぬおっ!?」

突然後ろから誰かに声をかけられ、あたしたちは驚いて声をあげた。

後ろを振り返ると、スーツ姿の男の人が立っていた。

ウェーブがかかった色素が薄い髪に、俳優のように整った顔立ちが特徴的だ。

「おいおい、いきなり後ろから声かけることねーじゃんか。

って言うか、あんた誰だよ」

安部さんがそう言って男の人を見下ろした。

背に関しては男の人の方が低いようだ。

まあ、安部さんは190近くも身長があるらしいから、たいていの人は彼に見下ろされるのが当たり前なんだけど。
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