手をのばす
「うーん、仲のいい友達が旅行に行っちゃっててね、ちょっと寂しい思いをしてたの。それで思わず沢渡くんに声をかけさせてもらったってとこ」

酔いも手伝い、すらすらと言葉が出てきた。

「なんだ、俺はじゃあ穴埋めってわけかあ。ちぇ」


ごくごくと喉を鳴らして、沢渡はビールを流し込む。


喉ぼとけが上下にゆれるさまに、思わず目を奪われた。

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