手をのばす
昨夜のうちに沢渡に「お疲れさま!明日朝お店に行くね」とメールを送っておいた。

「おう!待ってるよ。毎度あり~なんてね」

すぐ返信があって、何度も何度も読み返してニヤけながら眠りについた。



いよいよ出発。

玄関のドアに手をかけたとき、指輪にふと目が止まった。



そうだ、これ・・・・・・。どうしよう。



もし沢渡が右手の薬指を見たら、どう思うか。


「彼氏でもできた?」なんて変な勘違いをするかもしれない。

できれば、そんな無用な誤解は避けたい。



私は指輪をはずして、バッグの中にしまった。
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