手をのばす
毎年、明るくて愛想のいい女の子や可愛い子が入社すると、しばらくの間新人フィーバーが巻き起こる。


でも、今年はすぐに落ち着いてしまった。


そんな地味な沙耶を、まるで自分の分身のように感じた私は


「彼女に話しかけたい」


と思うようになった。

ただ、何を話せばいいのか全然思いつかない。

会話のきっかけがつかめない。


これまで生きてきて、そういう努力を一度もしたことがない・・・。



今以上に悪いことが起こらないように、息をひそめていただけだったから。

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