手をのばす
「失礼します」と応接室へ入ると、佐々木部長が数人の取締役と何やら話し込んでいる。
資料を渡し、お茶を置いたとき、「ありがとう、悪いね」と言ったのは部長だけだった。
他の取締役は当然、といった様子でふんぞり返っている。
「失礼しました」と深く頭を下げてから私は応接室のドアを静かに閉めた。
お偉いさんの気持ちは知る由もないけれど、あの態度はなぁ・・・・・・
というのが正直な感想だ。
佐々木部長だって本来そういう態度でもおかしくない立場なのに、あの状況で
「悪いね」と一言いってくれるのは、とても好感が持てる。
「佐々木部長ってけっこういいよねー。でも髪の毛がちょっと惜しいよね」
などと更衣室の噂を耳にしたことがある。
確かに、と以前目の当たりにした部長の頭頂部を思い出していた。
資料を渡し、お茶を置いたとき、「ありがとう、悪いね」と言ったのは部長だけだった。
他の取締役は当然、といった様子でふんぞり返っている。
「失礼しました」と深く頭を下げてから私は応接室のドアを静かに閉めた。
お偉いさんの気持ちは知る由もないけれど、あの態度はなぁ・・・・・・
というのが正直な感想だ。
佐々木部長だって本来そういう態度でもおかしくない立場なのに、あの状況で
「悪いね」と一言いってくれるのは、とても好感が持てる。
「佐々木部長ってけっこういいよねー。でも髪の毛がちょっと惜しいよね」
などと更衣室の噂を耳にしたことがある。
確かに、と以前目の当たりにした部長の頭頂部を思い出していた。