手をのばす
会計を済ませてから外に出ると、沙耶と沢渡が並んで話していた。


きっと連絡先を交換して、次の約束を取り付けているのだろう。



どうして。

私は激しく嫉妬した。


どうして沢渡と並んでいるのが沙耶なのだろう。


沢渡には彼女がいないとわかっても、もう私には何もできない。

彼女がいないからって、あの二人がうまくいくとは限らない。


別に沙耶でなくたって、私が沢渡にこれ以上近づこうとしても、うまくいくとは限らない。



でも。

このまま何も出来ずに黙って二人の成り行きを見ていなければならないの？

やっと気づいたこの気持ちを、伝えることなく押し殺さなければならないの？

私はこれからどうしたらいいんだろう。


あんまり二人の様子をじっと見つめていたので、自分の目がその方向へどんどん尖っていくような気がした。
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