手をのばす
背中にひやりとした汗が流れた。


現実にないことが噂になって、一人歩きする瞬間を感じた。

怖い。


ざわつきはどんどん近くなっている気がする。

みんなが好奇の目を向ける。


そんな状況を見てか、沙耶が傍に来てくれた。

「由紀子?大丈夫?」
肩に置かれた手はあたたかかった。

私はうなずくことしかできなかった。


「由紀子、大丈夫だよ。大丈夫」

何度も、沙耶は繰り返しそうつぶやいた。
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