手をのばす
切ないともだち
私は沙耶とバーのカウンターに並んで座っている。


部長の奥さんと連れ立った沙耶は、30分ほどしてフロアに姿を現し、普段どおりに仕事をこなしていた。


みんな沙耶に何かを聞きたくて、そわそわしていた。

でも結局誰も聞く勇気もないようで、仕方なく各自仕事に戻った。



「部長とは・・・いつから?」


私は手元へ視線を落とし、ためらいがちに尋ねた。


「そうね。・・・ちょうど、由紀子が沢渡さんと仲良くなりはじめの頃かな」

「どうして、部長だったの?」


沙耶はグラスを傾けた。




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