手をのばす
「え?どうして?今日のことがあったから?」

驚いて体の向きを変えた。


「他の人にどう思われようと私は平気だけど、部長はそういうワケにはいかないでしょう。多分今回のことであの人のことをよく思っていない取締役が、チャンスだって左遷する理由にするわ」


「ああ、あのふんぞり返ったおじさん達」

いつか応接室でお茶を運んだときの取締役の面々を思い出す。



「経営方針にもの申そうとしてたから、煙たがられてたみたい。もうそうなることは分かってるから、あの人も会社を辞めて、別の県で独立するって。私も来ないかって、言ってくれてるから」



部長と・・・・・・。

それは、きちんとした約束なのだろうか?

果たされる約束なのだろうか?


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