手をのばす
呪縛
社会人になってからも、私の生活は全く変わりばえしなかった。



ほんの少しでも変わりたくて、就職先を実家から遠い場所に決めた。

それで一人暮らしを始めても、相変わらずの孤独。


会社とアパート往復で、毎日はひたすら費やされてゆく。


まるで会社とアパートの扉がつながっているような錯覚。

朝部屋を出て、まっすぐ会社に向かい、夕方会社を出て、まっすぐ部屋に帰る。



流れる水が長い時間をかけて石に穴を開けるように、私の足がいつも同じコンクリートを幾度も幾度も踏みしめて・・・・・・



そのうち足跡がつくかもしれない、と本気で思った。


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