手をのばす
でもやっぱりどうして私なんかのことを覚えているのか、不思議だった。

その疑問に彼はすぐに答えてくれた。

「江崎さんすごく成績よかったから、とても印象に残っていたんです。よかった人違いじゃなくて」

すごく、というのは多少語弊があるけれど、沢渡はこの場を和ませるために強調してそう言っているのはすぐにわかった。


そんな気づかいは、決して嫌なものではない。

< 67 / 203 >

この作品をシェア

pagetop