手をのばす
「ええ、でもこのお店に来るのは今日が初めてで。まさか同級生がここで働いてるとは思わなかった。すっごい偶然」


「ほんとに。おっと、そろそろ仕事しないと。それじゃあゆっくりしていってくださいね」


沢渡はそう言って歯を見せて微笑むと、背を向けた。


細身なのに広い肩幅を持っていることに気づく。


真っ白いシャツがとてもまぶしい。


それを目で見送り、

「こんなこともあるんだなあ」


と目を細めた。




思わぬ偶然だった。
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