手をのばす
沙耶とはすっかりいつものように色々な話をしながら、時間をかけて食事をした。

話すことに熱中して、お互い箸をすすめるのを忘れるくらいだった。



やっとフォークとナイフを置くと、すぐにデザートが運ばれてきた。


コーヒーを待っている間に


「ねえ由紀子さあ、来週の土日って両方ひま?」

と沙耶が尋ねてきた。


「両方?うん別にひまだよ。どうして?」

「うん・・・あのね、旅行、一緒にどうかな、行かない?」

「旅行?」


いいわね、行きたい!と言おうとしたら

「箱根みたいなんだけど」

沙耶はおかしな言い方をした。


妙に思って私は

「みたいって?」

と聞いた。

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