『エレベーター』from The Eleveter
その口は全てを吸い込んでいる、ブラックホールバキュームだ!このイライラする空気をも吸い込んでいる。色は真っ赤だ。嫌でも血の色を連想させられる。その口の回りには何かが生えている、触覚の様にも見えるがその先端は丸くなっていて目の様だ。巨大な眼球そのものだ。それが10本あまり生えている。それは絶え間なく動めいていて、この空腹を満たす獲物を探している様だ。

ジョン・スミスがこの怪物を始めて目にしたのは、この世界に入ってから約10分位した時だった。エレベーターを出て出た場所はごつごつした洞窟の中で隠れる所は幸運な事にたくさんあった。直進し洞窟の出口へと近づいて行った時怪物が外を歩いてあたのだ、いや、歩いているというよりは滑っている感じの方がした。

ジョン・スミスは一瞬にして恐怖に襲われた。身長6フィートはありそうな巨大な物体が滑り歩いていたのだ。凍り付くより先に何てか洞窟に戻る事が出来た。

怪物の方はジョン・スミスには気付いてなかった。音もなく洞窟から遠ざかっていく後ろ姿だけを見せている。洞窟内に戻り、岩の屋根の陰となるところに身を震わせ、凍り付きそうな寒さなのに汗をかき−これを冷や汗と言うんだ−
< 5 / 41 >

この作品をシェア

pagetop