『ありがとう』と言われる日まで。
前の席ということで、この学校にきて初めて声をかけてきたのがこいつだった。
まだ、数時間しか経っていないが、どこか馬が合った。
「いや、なんでもない」
「そうか?」
馬が合ったと言えど、転校初日で気になるやつができたとか言えるはずもなく。
俺は首を横に振った。
山本は微妙に首を傾げていたが、それには気づいていないふりをした。
次の休み時間。
黒板の横にある掲示板に用事があるという名目で席を立った。
その時、彼女の近くを通れるから。
少しズルい気もするけど、彼女が何をしているのか見ようと思ってだ。
なんか、変態のような気がするが致し方あるまい。
だって、気になって仕方がないのだから。