笑わない王様
なぎが…王様…
「きっとゆずちゃんの知ってるなぎさじゃないんだね」
「…そうよ…だってなぎは…」
そんなことしない。
人をいじめたり傷つけたりなんて…できるような人じゃない。
「誰よりも知ってるもん。人の痛みを…」
人に傷つけられる痛みを、彼は知っている。
「ふ~ん、どうやらなぎさの事かなり知ってるみたいだね」
片方の口角だけをあげて笑う碧くん。
「そりゃ、小さい頃よく一緒にいたし」
「でもなんでなぎさはゆずちゃんの事嫌ってるんだろう?」
うっ…
それは私が一番知りたいよ…。
「もしかして、なぎに傷をつけたのってゆずちゃんだったりして?」
冗談めかしく笑う碧くんはやはり苦手だ。
「どうして私がなぎを傷つけるわけ?それに十年間ずっとあってなかったし…」
「それが原因なんじゃない?」
「え…?」
会ってないことが原因…?