笑わない王様
「あれ?萩原さんと知り合いなの?ゆず」
「なぎさって、あの金髪の…」
「そう、この学校の王様」
やっぱり…。
今朝見た、変わり果てたなぎさのことだ。
碧くんもなぎのことを王様だと言っていた。
「ねえゆず。どうなの?昔からの知り合い?」
「あ、うーん…。まあ、一応」
昔はよく遊んで、毎日ずっと一緒にいた。
私はなぎの事が大好きだったし、なぎも私には心を開いてくれていると思っていた。
でもさっき会った時……
なぎはあの時のことを忘れちゃったのかな?
「そうなんだ~。仲いいの?」
「…どうなんだろう」
私はそうでありたかった。
たとえ外見が変わってしまっていても、”なぎ”は変わっていないと信じたい。