笑わない王様


「ごめんね!止めることしか頭になくて、なぎだって気付ーー…」


最後まで言い終わらないうちに、私はなぎの手によって口を封じられていた。


頭の中がハテナだらけになる。



んん?


なぜ私は今なぎに口を…。



「うわぁっ」


「え!ゆず!?」




考える隙もなく、なぎは私の腕を強く引っ張って何処かに連れて行こうとする。


教室から深月の声が聞こえたような気がしたけど、今私は右手で口を塞がれ、左手で腕を引っ張られ、散々なのだ。


まさにこれは…




「んんんんんん!!(誘拐だよ!)」



廊下でいろんな人が私たちの光景に振り返ったりしている。


ああ神様…。

人とはこんなに変わってしまうものなのですか?

なぎはとうとう人を拉致るまでの極悪人になってしまったのですか…!!



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