笑わない王様
ルール
「おはよー!」
「まじ眠いんだけど」
「あ!課題やってねぇ!」
まだ登校時間中で、廊下にはたくさんの生徒がいた。
えーっと、まず職員室に行くんだっけ?
私、吉岡ゆずは今日からこの学校に通う転校生。
七歳までこっちに住んでいたけど、その当時の友達が同じ学校なわけもなく、私は一人で職員室を探す。
たしか説明された時、聞いたけどちょっとあやふやになってきたな…。
二階だったかな…。
不確かな記憶を頼りに歩いていると、近くから大きな悲鳴が聞こえた。
「きゃーっ!」
私は急に頭の中に響く悲鳴に驚いて大きく反応してしまった。
声のしたほうを振り返ると、一人の男の子が廊下に倒れている。
え、あんなとこで何してんの?
「ご、ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさいっ!!」
倒れている男の子は何かに怯えるように身をかがめ、必死に謝っていた。
その異常な光景に私は疑問と好奇心を持ち、ゆっくりとそっちへ近づいた。