笑わない王様


私はなぎのネクタイを引っ張り、

なぎは私のリボンを引っ張る。


実に変な光景だった。



「…っ」


一切のちゅうちょもなくそう言い放つなぎに、私はますます失望を知った。



「今お前を殴ろうと思えば殴れる。力が俺の方が上だからだよ。これが全てだ」



なぎはそう言って、しばらく私のリボンを離さなかった。

じっと私の目を見る。



「わかったか?世間知らず」

しばらくの沈黙の後、なぎはそう言ってどこかへ行ってしまった。



残された私はその場にへなへなと座り込むことしかできない。


なぎは……変わっていた。






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