笑わない王様
冷たい人
「はあ…」
口から自然と大きなため息が出た。
「あらまあ。どうなさったの〜」
突然影が現れて、顔を上げると白々しい言葉遣いを放った碧くんがいた。
「また見てたの?」
たまたま見た人は、こんな言葉の掛け方しない。
「あ、バレた?別に盗み聞きじゃないよ。俺が先約だったし」
「あっそう」
なんだがムカついてが来た。
ここにいる人は冷たい人ばっかなの?
なぎにしても、碧くんにしても。
今朝、なぎに殴られる男の子を止めようとせずただ見てただけの人も。
なんて薄情なんだ。
私は碧くんをスルーして立ち上がり教室に戻ろうとした。
どうやら今の私には深月だけが救いのようで。
そんな大事な友達も置いてきちゃったし、早く教室に…
「出た出た。悲劇のヒロイン第2号」
背後から碧くんの声がする。
たぶん私に投げかけた言葉。
「は?」
私はこれでもかってくらい眉間にシワを寄せて振り返る。
よっぽど私の顔がひどかったのか碧くんが笑った。
「ぷっ、超怒ってるじゃん」
「怒ってないよ。言ってる意味がわかんないだけ」
「知ろうとしてないだけじゃん」
なんなの!さっきからじゃんじゃんって語尾につけて。
「知ろうとしてるよ!!でも教えてくれないんじゃん!」
じゃんが移ってることに気づいて、ちょっと恥ずかしくなったけど今は気にしてられない。