笑わない王様
教室を出て少し歩き、階段をのぼった先に大きな声でゲラゲラと話す男女が溜まっていた。
おお…さすが都会の高校。
私が一年生の時までいた前の学校とは大違いだ…。
「あの時の顔まじうけた~」
「ほんとそれ!さすがなぎさって感じぃ」
その名前だけがクリアに聞こえて思わずその人たちの方を見てしまった。
今、なぎさって言ったよね?
「あ?何お前」
数秒見ただけなのに、なぜか彼女たちは怒りながらこっちを睨んでいる。
スカートはもうパンツ見えちゃうよってくらい短くて、
髪の毛も無駄に長くて細い眉毛を釣り上げた女の子が一言。
「喧嘩売ってんの?」
どうしてそうなるの!?
「いや別にそういう――…」
「あ!」
否定しようとしたら、怒ってる女の子の横にいたチャラそうな男の子が何かを思い出したように口をはさんだ。
「朝の子じゃん!なぎさをぶっ飛ばした!」